自然下と飼育下と

2月6日。この日もエサを持って、ホッキョクグマクルミに会いに行きました!

前回与えたのは3日。今は毎日エサを与えにいくというよりはクルミの様子を見ながらにしています。

前回エサを与えに行った後、クルミはとりあえず落ち着いたのか、
その後に豪太の展示場に人が作業に入っても小窓で待っているということがありませんでした。
(その様子はこちらhttp://www.gao-aqua.jp/blog/?p=7197
ですので、今は毎日ではなくクルミの様子を見ながら、ということにしています。

前回は小窓からエサを与えていたのですが、クルミが人に激しく警戒している様子は
なかったので、今回はもう少し大きな扉越しでエサを与えました。

裏の部屋に入る人数は今は制限していますので、今回もカメラ等での撮影画像はありません。
というわけで再現しりーず。

「小窓」はクルミが待っていた小窓。
「扉」が、今回エサを与えた場所です。
扉を見ることができるよう、この図「寝小屋」にも1台、赤外線カメラを設置してあるので
クルミが来ることを画面で確認することができます。

エサを持っていったのは豪太のエサのじかんのあと。
このとき人の気配を感じてクルミが産室から出てくるかな~と思っていたのですが、
ちょっと前まで仔グマにおっぱいをあげており、人の気配を感じてから出てきたようでした。

まずは

小窓から確認。
前回はここからエサをあげました。

そして

今回は扉の檻の隙間からエサをあげました。
後でも食べれるようにちょっと多めに置いておいたそうです。
この日は仔グマの「く~~~」といったかんじの鳴き声も聞こえたそうですよ(いいな~)!!

エサを与えている間、仔グマが大きな声で鳴いたりすることはなかったそうです。
直前までおっぱいをもらっていたから、落ち着いていたようですね。

エサを隙間から入れ終わったら、人間はそ~っとかつささっと出ていきます。
すると、クルミは
 クルミダッシュで
仔グマを確認しにいきます。

クルミは人が裏の部屋に入る前と出て行ったあと、通路と産室の間を行き来して
人の姿と仔グマの姿を確認しているようです。
物音がするのに人の姿が確認できないと、仔グマに何かされるのではと思うのでしょう。

人の姿を確認できると、とりあえず落ち着いてエサをとるようになります。
そして人が出ていくと、産室の我が子を確認し、人の気配が完全になくなると
残ったエサを食べます。

ちなみに仔グマは産室の中をずいぶん動き回るようになったようです!
自ら産室移動をするといいますから、う~んますますおてんばorやんちゃな予感?
65日齢の動画を準備中ですので、しばらくお待ちくださいね♪

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

12月4日クルミ出産から現在に至るまで、仔グマの鳴き声確認、授乳音確認、
目が開いたこと、おそらく歯が生えてきたであろうこと、這いまわるようになったことなど
仔グマが成長していく上で、ある段階を超えたといいますか
ステップアップ?といいますか
そんな状況を見ることができました。

2月に入り、クルミが人の気配を感じて、人が来る可能性のある時間帯に合わせて
産室から出て待っていたことを、(おそらく)エサを待っているのだろうと判断してスタッフが
裏の部屋に入り、クルミはちゃんとエサを食べてくれました。

11月1日から絶食状態だったクルミが産室から出てきてエサを食べ始めた!
ということはこれもひとつのある段階を超えたといいますか
ある重要な段階をクリアしたといいますか
そういうことなのではという話をしていたのですが

「でも、本来であれば
野生のホッキョクグマは仔が自分で歩けるようになるまで
外に出てくることはないんだよ」
と、担当者はいいました。

そうです。
野生のホッキョクグマは子育てしている母親のみがエサをもとめて
巣穴から出てくるということはありえないわけで、
母親はわが子が自分の脚で歩き、母についてこれるようにならないと
巣穴から出てこないんです。

今回はクルミの方から人の気配を察して待ってくれていた(と思われる)ので
エサを与えに行くことができましたが、もしそうでなかった場合どうしていたのか。

この飼育下という環境の中でクルミが産室から自ら出てきて
エサを食べるようになったということは
ホッキョクグマの本来の子育て・仔グマの成長という過程の中で
ある一つの段階を乗り越えたということになるのかな?

クルミが自ら出てきて待っててくれたことに対しては
クルミに本当に感謝です。

この現在の環境の中で
我が子を守り
育てようと決めてくれたクルミにとって
「仔を育てる」ということが最優先で、
この場でこのタイミングでエサを食べるために自ら産室から出るという選択を
とったのであればそれはそれでいいのだろうと思います。
ただ、そういうことがあったということです。

母子ともに健康であることが、まずは第一です。

水族館という人間の作り出した空間の中で
スタッフの存在と今していることが
『人工的な施設だがホッキョクグマが子を育てることのできる環境の一部』だと
クルミに思ってもらえているのであれば、それ以上にうれしいことは無いと思います。

しかし、言葉にするには難しい出来事であるようにも思います。

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