1年前のイルカ出没事件 後半屠体給餌

ほぼ1年前の記事。
皆さま、

この写真、覚えてますか?

2019年8月28日、水族館そばの戸賀湾でイルカの群れが目撃されました。

詳細記事こちら

当時は急きょ地元の漁師さんの漁船にGAOスタッフがのせてもらって
貴重な映像と写真を撮影することができました。

このときの写真では、正確な種類を特定することができなかったんですよ。
といいますのも、「バンドウイルカ」か「ミナミバンドウイルカ」だろうということは
想像できたのですが、この2種類はこのアングルだとひじょ~~に似ているのです。

明確な違いが、成長した個体には腹部に斑点模様が現れることなんだそうです。

確かに当時GAOで撮影した写真を見返しても、腹側が写っている写真は
ありませんでした。

この群れはこの日のみ戸賀に現れ、夕方には姿が見えなくなっていました。
しかーし!この話これで終わらなかった!!

この写真。

右と左の個体の背びれがちょっとぎざぎざですよね。
これ、けっこう特徴的な形なんですよ。

お腹部分は映ってなかったものの、背びれの写真は比較的きれいな
ものが多かったのです。

この写真を見た新潟の方から、
「背びれの形で、他の場所で目撃されているイルカと同一かどうか
判定できるかもしれない」

とのことで、見比べていただきました。

左のギザギザ背びれ(男鹿)

新潟(上越市)に出没したギザギザ背びれ。

一致。

右の大きな個体の根本がかけた背ビレ(男鹿)

新潟(上越市)に出没した根本カケ背びれ。

一致の可能性大。

ということで、昨年8月に男鹿に現れたイルカは
新潟県にいたことが判明したのです!

また、新潟で撮影された写真には腹部の斑点模様が
映っていて、このことからこれらはミナミバンドウだということも
わかっています。

ということは・・・男鹿に現れたのもミナミバンドウだと
いうことなんですね~。

ミナミバンドウイルカは東北日本海側での目撃例は少ないと思います。
GAOに寄せられている情報でも、ミナミバンドウはこれまで
ありませんでした。

また、こうして日本海側の新潟~秋田間を行き来している
個体群がいるのか・・・ということも注目すべき点です。

1年前、「ちょっと寄ってみる?」的な感覚で
戸賀に来てくれたのでしょうか。

また姿を見せてくれたらうれしいですね。

ミナミバンドウイルカは国内の水族館でも
人気の生き物ですが、ここで取り上げている彼らは
あくまで野生生物です。

野生のバンドウイルカも好奇心旺盛な一面があるらしく、
ヒトに寄ってくる姿なども観察されていますが
体重数百キロ、水中を機敏に泳ぎ鋭い歯を持つ野生の生き物です。
何が起こるかわかりません。それがその瞬間でも、
長い期間で見ても。

むやみに近づいたりしないよう、適度な距離を保って
観察しましょう。

さて、別件ですが今日8月23日
ホッキョクグマに「屠体(とたい)給餌」を行いました。

屠体給餌とは、駆除された野生動物を適切な方法で処理し、
ほぼ丸ごとの状態で動物園水族館の飼育動物に与える(給餌)ことです。

ここではイノシシを与えましたが(もちろんGAOでも豪太ユキも
始めて)、近年深刻な農業被害などから駆除された野生動物の
約9割はそのまま廃棄されているのが現実です。

今日は3~5㎏のイノシシをそれぞれ豪太とユキに与えました。
頭部と内臓は取り除いて処理されており、血が流れたりはありませんが
毛皮・脚はついている状態のものです。

取り急ぎ、以下に写真を掲載しますが

苦手な方はご遠慮くださいね。
ここで終わってください。

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ユキ

豪太

最終的に、ユキは3時間かけて大きな骨以外を食べ

豪太は1時間半でご覧の通りでした。
この後も寝そべりながら骨をなめてたりしてました。

2頭は美味しくいただいたのでしょうか。
少しは良い意味で刺激になったのでしょうか。

今、この屠体給餌の取り組みは国内の動物園水族館で
実施されています。飼育動物にとってどういう影響があるかは
もちろんですが、害獣として駆除されている現実も
知らなくてはいけません。

自分は今、飼育動物にとってどうか目線で書きましたが
もう少し広くとらえないと意味をなさないことなので

改めて、また別の日に掲載させてくださーい。
というわけで、続きます。

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