漂着生物報告

新聞にも掲載していただいたので
 ご存知の方も
いらっしゃるかと思いますが

28日朝、水族館の近くの漁師さんから
死んでいるけど、クジラが漂着しているという連絡をいただき、確認に行きました!

これまでも、死んだクジラが漂着しているという連絡はいくつか
いただいており、秋田県沿岸に漂着したものをいくつか見てきてはいたので
どの種類かな~と思いながら行ってみました。

 恥ずかしい話ですが
自分は全くわかりませんでした・・・。

大きさは約2メートルほど。
イルカのような色合いのような気もしますが、頭と胴の間にははっきりと
くびれがありました。

 背びれも
あるんだけど、なんだかな~。
体の側面のしわしわも気になります。

というわけで、とりあえず写真を撮影し
専門の方に見てもらったところ。

「アカボウクジラ科の、おそらく新生児であることに間違いなく、
種類としてはオウギハクジラの生後間もない個体と考えられます」

オウギハクジラの新生児!見たことないはずだよ~。。

オウギハクジラの県内の漂着例は過去にもあり、GAOも
連絡をいただいて見に行ったことはあるのですがいずれも
4~5メートルほどと、比較的大きな個体でした。
(成長すると5~5.5mと考えられています)

このオウギハクジラという種、不明な点が多いクジラなんだそうです。
分布としては北太平洋の比較的涼しい海域や、日本海周辺でも目撃例がありますが
そもそもこのクジラを「種」として成立するための情報はほとんどが
死んだ状態での漂着例や骨からで
野生の生きた状態での観察例や画像、映像資料というのがほとんどありません。

おそらく非常に警戒心の強い、また、海面上に姿をあまり表さない種なのかも
しれません。

 こちら
下あごにV字のような線。
これ、オウギハクジラの特徴なんだそうです~。

また、体のわきの皮膚のたわみから生まれて間もない証拠です。

生まれて間もないのに2メートルというのも驚きですが・・・

このように生まれて間もない状態というのは県内における記録上過去に1例あるそうです。

この個体は、研究資料として東京の国立科学博物館に提供されることになりました。
不明な点が多い本種において、貴重な例となることと思います。

この日、漂着を教えてくれた漁師さんは
「GAOの人にも勉強になると思ってよ」とにこにこしながら教えてくれました。

これまで秋田県内における漂着に関しても
専門家の方から色々と教えていただくことができましたし・・・
ほんっっとうに、勉強になった1日でした。

と同時に、
海っていくら身近身近と言っても
わからない世界なんだなあと
驚きと同時になんだか怖さも感じました。

GAOは7月で11周年!
こうして、水族館外の方から生き物に関する情報をいただくことは
GAOが水族館として歩んでいく上で欠かせない要素です。

地元の方を始め、多方面の協力をいただけることに
感謝するとともに
それに見合う水族館となるべく
レベルアップしなくてはいけませんね!

今後もこのような漂着生物情報に関してお伝えしていきたいと思います。
 

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