期間限定 1千数百万年前の海の底

GAOから車で30分くらい行ったところに

 「鵜の崎(うのさき)」
という場所があります。

冬から春の初め、限られた時期だけ

 海の底が
姿を現します。

ここ鵜の崎は、この時期以外
今目に見えている岩の部分はほとんどが海の中です。

 こんな感じ。
岩の露出度が少ないですよね。

そしてこの時期、とはいっても朝から午後3時くらいまででしょうか。

 こーんなに
海水が引いて、岸から数百メートルくらいまで歩いて海の底を
歩くことができるんです!

今回、ここである調査を行うということで
特別に同行させてもらいました。

その調査とは
潮が引いて、本来見えない海の底が見えるような時期しか
できないという・・・主に対象が
 こういう
形をした岩です。半分下、色が変わっていることから
普段半分は海の中、ということです。

え?作ったんだろって?

違いますよ。

 ど天然ですよ。
ここ鵜の崎は、海水が引くと
こんな丸い岩が

 ごろごろ
姿を現します。

この岩、「小豆岩」と言われており
「日本の奇岩百景」というのに選ばれているんです!
(正直「そういうジャンル百景あるの?!」程度の知識でしたよ)

 これだって・・・
(隣にいるヒトとの差に注目)

 あ、
これもかな・・・てか、山じゃん・・・(隣にいるヒトの大きさに注目)

ぼけーっと見ていたら、
これはほんの一部が表面からでているだけで
地面より下にどのくらいのものが埋まってるかわからないそうで。
・・・確かに。

 これなんか
もうてっぺんしか出てないけど
どのくらいの球状の岩が埋まってるのか・・・

さて、この真ん丸岩群、
一体どうしてこんな形になったのか?

この真ん丸岩、地質学的には
「コンクリーション」というものだそうです。
こうなるには「核」になるものが必要で、
中心部分から外側にどんどんどんどんいろんな物質が重なって
丸くなっていくんだそうです。

小さな雪玉転がしていけば大きな雪玉になるみたいな
ものだよと教えてもらいました。なるほど。

ん?ということは・・・

この真ん丸の中にも、何か入ってるということですか?

すなわち今回の調査はそれ!

長い年月をかけ、中には割れてしまった小豆岩も見られるのですが
その断面に・・・

 一部
色が異なる部分、ありますよね。

 これなんと
骨の化石なんです。大型の海棲哺乳類の背骨だそうです。
1千数百年前くらいとのことでした。

ここ鵜の崎の小豆岩には大型の海生哺乳類の化石があることが2015年に
判明したそうです。

 海水が
引いたおかげで、こんなふうに露出してくる化石も見ることが!
これも大型海棲哺乳類の骨とのことです。

 こちらも
骨の化石だそうですよ。

一千数百万年前に生きていた生き物の化石が
どうして地中深く掘ることもなくこうして現代の地表とほぼ同じレベルに
見ることができるのか。

そもそも、ここ鵜の崎は
一千数百万年前に海底だった地層が隆起によって持ち上げられ、その後
波に削られて現在の形になったと考えられています。
 この
あたり、その地層が目に見える場所かな?

宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の中で
ジョバンニとカンパネルラが訪れた場所の中にプリオシン海岸という場所を
訪れるシーンがあって。
そこでは学者や助手さんが化石の発掘をしているんです。

ジョバンニとカンパネルラは120万年前の大きなクルミを手に取ったり
化石や地層の話を聞いてるうちに時間が経ってしまい、
汽車に乗り遅れないようにと懸命に走ります。
風のように懸命に走り、汽車間に合います。

私が好きな「銀河鉄道の夜」のアニメ映画では
この汽車に間に合ったときに
カンパネルラが
「ぼくたちは今、120万年を一気に走りぬけてきたんだ。風みたいに」
と言います。
(このセリフ、原作に無いんですよね)

 こうして
自分が立っている地面が、1千数百万年前、海の底だったのだ。

どんな生き物がどんな海を泳いでいたんでしょうね。
そして今自分が見た骨の主は、どんな姿なんだろう。

自分は1千数百万年を戻るため
数回海にはまり
長靴の中をちょっと海にしました。

ここはこれから、さらに調査が進むのでしょう。
もしかしたら、この骨の主の姿も知ることができるかもしれない。

でももう
 自分が
さっきまでどの小豆岩を見ていたかわからない・・・。。

化石を見ることができる小豆岩を見つけるのは、
専門家の方がいないと難しいです。
ですが、この鵜の崎はなかなか見ることができません!

ここは駐車場もお手洗い等も完備されており、
晴れた日にはドライブ・ピクニックに最適の場所ですよ!
自分が小学生のころ、よくここで磯遊びしてましたが
まさかそんな場所だったなんて微塵も知りませんでした。
「カニいっぱいいたな~」くらいしか考えてませんでした。

1千数百万年前の海を、想像してみませんか?

すてきな形の岩を見つけたので、勝手に命名しました。

 にゃんこ岩。


もうどれだかわからない。。

※興味があるからと言って岩を傷つけたりすることは
絶対に止めましょう。長い年月をかけて自然が見せてくれた
貴重な歴史です。

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