幼獣と高齢個体

4月21日、2つ目の記事となります。
1本目をまだ見ていない方は
「独り占めしたいユキさん」もご覧ください~。

これも20日のことです。

午前10時ころ、アザラシ展示場にいるスタッフから
連絡がありました。

「こまちが自分の子供を追い回して、子供が陸に上がろうとしても
押さえつけるような行動をして、子供がおぼれそうになったり
するんです」

行ってみると、幸い子は自分の目の前に出てきてくれましたが
逃げたいのかじたばたしながら陸に上がろうとするのをこまちが
押さえつけ、陸に逃げることができなくなっていました。

これはお互いによくないと、こまちをプールに追いやり、
急きょ子を展示プールから離しました。

実はこのあたりで、ひじょ~~に迷っていたことがあるのです。

今年出産した2組の親子の乳離れのタイミングです。

3月20日に生まれたみずきの子は、すでに

 白い
幼獣特有の毛は抜け、数日前からみずきの干渉もほとんどありません。
体重も減ってきており、お乳をもらっていない証拠です。

となると次は「餌付け」です。魚を食べてもらわなくてはいけません。

餌付けする場合、生きた魚をプールに入れ、最初は興味を持って追いかけ
何等かの拍子で口にし
あれ?食べることができるかも。お腹もすいてきたし
これを食べればいいんだと思ってもらい(これ一番理想)
その後生きた魚から、大人と同じエサをプールに入れておき
かじかじしている間に呑み込んじゃって、
次第にヒトの手から食べるようになる・・・
が一番理想です。

お腹がすいても頑固に「お前らの手からなんか食べるか」と
いう個体もおります。
そのような場合は強制的に口に入れ、呑み込ませ、
「お腹がすいていたけどこうすればお腹がいっぱいになる。
お腹もすいた。・・・仕方ないなあ 食べてやるか」
と思っていただくパターンもあります。

みずきの子はすでに親から離れているようですし、よく
太っています。
みずきの性格とこれまでの子育て状況も考慮し、
子と完全に離しても問題はなさそうなのですが

こまち親子を離すタイミングをうかがっていました。

こまち嬢、これまでもお話したように
2015年初めてのときは子育てをしましたが
2017年出産時には子育てをしないことがありました。

今年は無事に子育てしてくれましたが
かなり神経質であることは間違いないようです。

今後妊娠した場合、今回のように子育てを
ちゃんとしてくれるのか。
もし、こまちと子を離すタイミングをミスったら
今後の子育てに影響する可能性がないわけではないかもしれない。

20日の朝、

 こまちの
お子様。白い毛はすでにほとんどなくなっていました。

まるまる太って見えますが
体重もピークの時より減ってきているとのことで、そろそろ親から
離してもよい時期です。

でもなー。

こまちと離すタイミングがなー・・・(20日朝9時)
まだほんわか親子だしなー。お乳は出ていなくても
こまちの中ではまだ親子だったら、無理矢理離すのもなー。。

と迷っていた1時間後に冒頭の連絡です。

こまち側から子供接近NGのサインが出たとなると
離すしかない。というか、互いによくない。と判断し・・・

みずきの子も一緒に

 子供プールに
移動させました。

こうして幼獣2頭は同時にお魚ごっくんの練習を始めることになりました。

タイミングだと思うのですが・・・
もしも掃除に入るタイミングがずれてたら、こまち子大丈夫だったのかな?

または、こまちがその職員のいるタイミングを見計らって
明確な行動を起こしたのか・・・もう子育て終わってるわよ!とか・・・

いずれにせよ、助けられました。

さて、お気づきの方もいらっしゃるかもですが
この写真

 右に
もう1頭いますね。

これ、マリーさんです。マリーさんもお子様プールに
移動させました。
ですので、今はお子様&おばあちゃんプールになっております。

マリーさん、以前お話した時から、ずっと体調がすぐれないままです。
詳しくはこちら
この時以来、ずっと別室に入っていました。

2組の子育てが始まったときにマリーが展示場に一緒にいると
マリーさんに何かあった場合すぐに取り上げたりすることが難しくなるためです。
体調には波がありましたが、ここ最近はエサを口にせず(食べても吐いてしまう)
ひたすら痩せています。
これまで、エサに薬を入れたり
注射や点滴、血液検査等、現状やれることは行いましたが
これ!という明確な原因は今のところわかっていません。

エコーで診てもらったところ
全体的に荒れているということもあり、年齢的なものも
影響しているのかもしれない・・・
推定25歳(野生からの保護個体なので、もっといっているかもしれません)。
ゴマフアザラシの中では決して若くありません。
現在は点滴を数日おきに行っています。

完全隔離するような理由でないのなら
(他の個体にうつるような病気とかでないのなら)
今まで過ごしてきたのに近い場所で、かつすぐに私たちがマリーの近くに
行けるようなところにいてほしいな・・・なんて
思っていました。

そんなときにお子様プールです。
お子様プールなら何かあった時にもすぐにマリーのそばに行けるし
触ることだってできる。
他の大人の個体からの干渉も受けない。
じゃあ、2組の子どもが完全に親離れして
お子様プールを開設させたら、マリーも入れよう。

となると、できれば早いうちにお子様プールが開設できれば・・・と
思っていました。

先にお断りしますが、マリーさんの写真
ちょっとショックな状態かもしれません。
そんな状態を見たくないというお方は、申し訳ありませんが・・・
ご遠慮くださいね。

 顔が
見えるのがマリーさんです。
左はこまちの子です。なんでかこの子は、この部屋が気にいった
らしいです・・・。

 あ、
自分で出てきてくれました。よかった。

 ご覧のように
かなり痩せました。
骨がわかりますね。
ですが、自力で奥の部屋から外に出るくらいは、動くことができるようです。

 マリーだって
水族館で飼育されているゴマフアザラシなんです。

マリーがいなかったら、今いる命だっていなかったのです。

お子様プールに移動したら

 ゆったり
泳いでいました。

なんか気持ちよさそうかも。
なんて思いましたが、自己満足ですね。

幼いゴマフアザラシも
高齢のゴマフアザラシも
見ていただけたらと思います。

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