お知らせ~保護したちびあざらし

ホームページトップの「お知らせ」にあるとおり、
3月28日に男鹿市加茂青砂の海岸にて保護され、当館で治療を続けていた
オスのゴマフアザラシがこのたび神奈川県にある新江ノ島水族館に引っ越すことと
なりました。

水族館にくる前日にも同じ海岸に横たわっていたこのアザラシ。
最初見つけた地元の方は海に帰そうとしたのですが、次の日も
同じ場所に横たわっていたということで、GAOに連絡してくれたのです。

 3月28日の様子。
このとき体重は8.2キロでした。
大きさから今年生まれた個体と判断。
明らかにがりがりにやせており、人が近づいても逃げもしませんでした。

それが今では・・・
 貫禄のある背中。

 まるまるっ!
と、このようにまるまると太り、とっても元気になりました!
最近の体重はなんと17キロ!保護当初のほぼ2倍じゃないですか。

 動きにもキレが出て、
元気になって本当によかった♪

現在はひれあし‘s館の
 こちらの
「予備プール」で会うことができます!
GAOを発つのは6月6日の早朝、開館前を予定しています。
現在かわいさを周囲にまき散らしております。

現在、国内の動物園水族館で飼育されているゴマフアザラシは高齢化が進んでいます。
また、誕生する赤ちゃんの数も減少を辿っています。
これまで繁殖可能な個体群の高齢化が進んでいることも関係しているでしょう。

当館では4月に「ひれあし‘s館」がオープンしましたが
その際、これまで当館にいたマリーとみずきに加え、若いオスとメスを搬入したいと
考えており、たくさんの動物園水族館の方々にご協力をいただきました。
わがままなことに「野生由来の血が入った個体がいい」という希望を持っていました。
野生由来というのは、親が野生から保護された個体であることや、保護された
個体であることといった感じです。
野生の血が入っているということは、現在飼育下にいる個体同士の繁殖では
ないわけで、新しい血統が入ることは今後繁殖を進めていく上でとても重要です。

ひれあし‘s館オープンの際、当館には北海道の小樽水族館からオスのゴクウが、
旭山動物園からはメスのこまちがやってきてくれました。
2頭とも若く、ゴクウは今回のちびくんのように保護された個体。
こまちは母親が野生から保護された個体でした。
現在当館にいるマリーももとは野生のアザラシなんです。
みずきはマリーと、今は亡きナナとの子供ですがナナももともとは野生のアザラシ。
現在ひれあし‘s館の個体の状況はとても恵まれている状態です。
この状況は本当にたくさんの方のご協力があってこそなんです。

このちびくん。
弱ったところを地元の方が見つけ、こうして水族館に連絡をくれて、
今に至るわけですが
場所やタイミングが少しでも違えば今は無かった命でしょう。
今はとても元気です。
幼いせいか、こちらがなるべく距離をとろうとしても
すぐに人に慣れてしまいました。
おそらくもっと年を経た個体だったら、治療と回復は今より難しいものだったと
思います。

新江ノ島水族館に移動が決まり、今後国内のゴマフアザラシの飼育展示にとって
大きな役割を担っていくことと思います。

 こんなに
かわいいんだから、人気者まちがいなしでしょう!!

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ゴマフアザラシというと、動物園や水族館では展示している施設も少なくないため
比較的身近な動物という印象が強いと思います。
実際、ゴマフアザラシをモチーフにした商品等もたくさんありますし。
この顔や体型もまさに「かわいい」がぴったりです。

ゴマフアザラシは(地域によっては)漁師さんの網を破壊したり、
網にかかった魚を取ってしまったり、多くの個体がやってきて
漁場の魚介類を食べつくしてしまったりと
漁業に影響を与えるケースがあることから「害獣」として問題になっているところもあります。

エサを食べつくす、という点では人間も色々なところで
「資源を獲りつくす」という点で同じことをしている場面が多々あるでしょう。
時代が流れていくにつれて、漁業の技術の向上、
水産物を原料とする商品の多様化から
漁獲物の需要増加、多様化、めまぐるしく変化しているように思います。

人間にとってはここ数十年、数百年というのは
とてつもなく長い歴史なのかもしれませんが
地球全体の歴史を比べてみたら
そんな期間、一瞬なのではないでしょうか。

人間が今のような生活スタイルになる以前に
動物は今のように自分で食べる分のエサを自分で獲り、生きていたんですよね。

このような状況になっている生物はゴマフアザラシに限ったことではありません。

動物園や水族館で見るゴマフアザラシたちのかわいらしい姿と
野生に生きる彼らと人間の活動の狭間で起きている問題とを
結びつけることができていないのは水族館の責任です。
水族館だからこそできること(というかじゃなきゃできない)でもあるのです。

ちびくんの件をきっかけに、水族館に生きる生物と野生に生きる生物を結びつける
努力を、していかなくてはいけません。

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