採血できました

先日、

カリフォルニアアシカのトン吉、採血日でした。
どうやって採血を行うのかというと・・・

トン吉に我慢してもらう。

とは言ってもいきなりなんてさすがに無理ですので
練習を続けてきました。

最近では様々な種で、ヒトが力ずく(無理に押さえるとか)で
やらなきゃいけないことを極力減らした状況下で
飼育管理や健康診断に関わる動作を生き物にしてもらうための
練習が進められています。可能になると、ヒトの負担はもちろん、
生物の負担も減らすことができます。
生き物の負担ほんとうに減ってる?は疑問なところもありますが
少なくともケガをするとか、すごいトラウマを植え付ける
可能性は減らせてると思います。

やるといっても種類はもちろん、個体の性格やそれまでの
生い立ち等も関わってきますので、これはすぐできるけど
あれはだめとか、どうしてもできないなら他の方法で・・・
等々見極めなくてはいけない項目はたくさんあるのですが

正直言って、「生き物の協力」これが大きな割合を
占めていると思っている。。
その協力を得られるかどうかってことが
当然ながら重要なわけで、それは日々の行いが・・・
って言い始めると終わりが見えないのでこのあたりにして。

ちょっとずつの練習を続け、トン吉なら大丈夫そうだなってことで
採血が可能になりました。

そもそもどこから採血?って謎ですよね。ほぼほぼ毛に覆われてるし。

アシカは鰭に血管が広がっており、体温調節の機能もあります。
その後ろ鰭の血管を狙います。

採血する際に必要な人数は現在のところ3人。

餌をやるヒト
後ろ鰭(ここから血を採る)担当
獣医さん

です。
この日は+撮影者がいたので4人でしたね。

撮影者は誰でもできるんじゃないのと思われるかも
しれませんが、そんなことはありません。
トン吉が気にしてしまうような、かつ採血している途中に
驚かせてしまうようなことがあればこれまで練習したことが
一瞬で吹っ飛ぶ可能性もあります。

トン吉が知っていて、かつトン吉を知っていて、
採血の手順を知っているヒトが一番なのです。
(ちなみにこの日撮影していたのは後ろ鰭担当もやれるヒト)

まずは写真の様にポジショニングですが、
この姿勢にたどり着くまでにも、平らなところでいいんじゃないかとか
そのままいつもの台の上でいいんじゃないかとかあったんですが

結局これがヒト的にもトン吉的にも落ち着いた。

床だと

後ろ鰭からの採血の場合、獣医さんと後ろ鰭担当者が床に
這いつくばらなくてはいけない。

いつもの白い台の上でいいんじゃないのと思われるかもですが

今使っている台は段差がない平らなんです。
前鰭が固定されないので、トン吉が動きやすいんです。
かつ滑るので、非常に動きやすいんです。
採血中、痛みや何かに驚いたりすごく嫌なことがあった場合
がっ!!と攻撃に向いてしまう可能性もあります。
これで練習していると、なんだかトン吉が落ち着かなかったのも
ありますが、ヒト側の危険も極力減らしておきたいのがありました。

で、

この姿勢と場所に落ち着きました。ここの材質は滑りません。
かつ、これだと姿勢が固定されるような感じもあり(おそらく前鰭が一段上に
あることが良いのでは)、この姿勢からだとトン吉が振り向いてもすぐに
歯が届くことはなさそうでしたので、これで行うことになりました。

前置きが長くなっちゃいましたね。それでは次の手順。

ヒレをあたため、血管を確認します。

先にある通り、アシカはヒレに血管が広がっているのですが
常に血管が浮き出ているとか、見えているわけではありません。
ふつーにしてると、だいたい見えません。
そのため、あっためて血行を良くすると・・・

見えるんですね~これが。。

実は細かいところまでお話すると、この姿勢になる前に数メートル
トン吉に陸地を走ってもらっています。ほんとに数メートルなのですが
後ろ鰭担当者曰くこれをやるのとやらないのでは
ヒレ湯した時に血管の浮き出る具合が違うそうで、
走ってないですぐやろうとするとヒレ湯しても
血管が浮き上がらない、または時間がかかるそうです。
(気温にもよるかもです。気温が高い方が血行がよくなる)

この画像だとちょっとわかりにくいかもなので
別日ですが、血管がはっきり写真に写った日。

中央に盛り上がっているスジが血管です。
この日の採血もここから行いました。

血管が確認できたら、

針を刺して、

採血です。無事、血液が出てきました!順調です。

終わったらちゃんと止血して終了!

すべて終了まで5分近くかかりましたが、トン吉は姿勢を崩さず
こちらのやりたいこと通りに進めることができました。

トン吉、偉すぎるぞ!ありがとう!!
ちなみに結果は問題なく健康とのことでした♪

ここまでくるのに、他の動物園水族館の方からいろいろと
アドバイスや情報をいただきました。
本当にありがとうございました。

この日の様子が公式Youtubeにもアップされています。
まさか・・・針を刺す瞬間にあんなことしてたとは・・・

動画でしかわからなかった一瞬が写っています。ぜひ
ご覧ください♪

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